夢の薄毛治療技術「毛髪再生医療」の2017年最新事情

フィナステリド(プロペシア)とミノキシジル(リアップ等)の登場により様変わりした毛髪治療ですが、いよいよ2020年を目処に最強最高の治療方法の「毛髪再生医療」が本格化しそうな状況になってきました。毛髪再生医療とはいったいなんなのか、従来の自毛植毛とはどのような違いがあるのか、そして気になるお値段や治療を受けられる時期について2017年の最新の情勢をお伝えします。

現在国内で研究が進んでいる毛髪再生医療は主に二つのグループがあります。一つは資生堂が海外のレプリセル社の技術を使って進めているもの、もう一つは京セラ・理研が主導する研究です。どちらも大手の企業と病院が手を組んで研究を進めており、この分野では日本は間違いなく世界でもトップグループを走っていると言えるでしょう。ミノキシジルやフィナステリドなど効果の高い発毛治療薬の開発は海外メーカーに先を越されてしまいましたが、もしかすると毛髪再生医療に関しては日本発の技術が世界でもスタンダードになり、最も世界で恵まれた毛髪再生医療を受けられる環境を享受できるようになるかもしれません。

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毛髪再生医療とは

それでは毛髪再生医療とはいったいなんなのか、どういう技術なのかを解説していきます。簡単に言ってしまえば、本人の頭髪の中でまだ残っている部分から毛を作り出す細胞を採取し、それを培養して増やし、髪の毛が生えてこなくなってしまった部分に注入(埋め込む)という治療です。埋め込んだ細胞から毛髪が生えてくる事がマウスや人を対象とした研究で実現できるようになったのです。

毛を作り出す細胞を採取 → それを体外で大量に増やす → 本人の頭に戻す → 髪の毛が生えてくる

といった段階を踏みます。現在主流の自毛植毛と何となく似ていると思った方も多いでしょうが、毛髪再生医療で画期的なのは二番目の「体外で大量に増やす」というステップです。自毛植毛の場合は側頭部や後頭部より頭皮ごと採取し、それを前頭部など髪の毛が生えなくなった部分に埋め込む事で髪の毛を維持しようとする治療です。自毛植毛の問題点は、前頭部に大量に髪の毛を増やしたければ、その分だけ側頭部や後頭部の頭髪を大量に減らさなくてはいけない点です。

一般的にAGAの進行は前頭葉から進み、かなり進行してしまった場合でも側頭部や後頭部の髪の毛はフサフサしている事が多いですね。なぜあのような事が起きるかと言うと、側頭部や後頭部はアンドロゲンレセプター受容体が少ないために、髪の毛を脱毛させる作用を持つ男性ホルモンの一種であるDHTの影響を受けにくいためです。だからかなり薄毛が進行してしまった人でも側頭部や後頭部の髪の毛は残りやすいんですね。

それでも限界ってものがあります。いくらたくさん残っているからといって、あまり大量に毛根ごと採取してしまうと側頭部・後頭部の毛髪量が激減してしまいますし、そもそも側頭部・後頭部の髪の毛を全部採取しても、まだ前頭部をカバーしきれないほどに薄毛が進行してしまった人には無力です。自毛移植は高額な治療のぶん効果は高いですが、このような短所があります。しかし、この難点をカバーできるのが現在資生堂や京セラで進められている毛髪再生治療なのです。

毛髪再生治療は毛髪の採取量が少なくて済む

ここで先ほどの毛髪再生医療のステップをもう一度確認してみましょう。

毛を作り出す細胞を採取 → それを体外で大量に増やす → 本人の頭に戻す → 髪の毛が生えてくる

この二番目が再生医療の肝になり、また自毛移植の難点をカバーする画期的な点です。つまり、体外で毛を作り出す細胞を大量に培養する事ができるため、頭皮ごと採取する毛髪(細胞)を少なくする事ができるのです!例えば前頭部に3000本の髪の毛を増やしたいとすれば、従来の自毛植毛では側頭部や後頭部などまだ残っている部分の毛を同じく3000本採取しなければなりませんでした。しかし毛髪再生医療は体外で細胞を培養できるために、たったの数十本で済むのです。極端なことを言えばたったの一本しか髪の毛が生えていないサザエさんの波平さんでも、その一本を元に培養して何百万本に増やす事だって理論上は可能なのです。凄い。凄いぞ毛髪再生医療!

女性でも治療可能

そしてもう一つすばらしい点は「女性でも男性と同様に治療可能」な点です。フィナステリド(プロペシア)は男性のみ処方可能な医薬品で、女性が服用した場合は効果はともかくとして胎児に影響が出るという重篤な副作用がありました。しかし毛髪再生医療ならば男女は関係ありません。男性に比べると薄毛に悩む女性の数は少ないですが、しかし薄毛の女性が少ない分、薄毛になってしまった時の社会的・精神的ダメージは男性とは比較になりませんでした。男性なら開き直ったり坊主にしたりいくらでも逃げ道はあるといえばあるんですが、女性の場合は坊主にするわけはいきません。女性の薄毛は大変辛いものがあります。男女問わず可能な毛髪再生医療は女性の薄毛治療を劇的に改善する可能性を秘めています。

毛髪再生医療の欠点

完璧に思える毛髪再生技術ですが、もちろん欠点も無くは無いです。と言うよりは、現状ではたくさんあります。

自毛植毛より時間がかかる

毛髪再生の肝である細胞の培養ですが、一日二日で出来るものではありません。増やす量にもよりますが、現在の技術では三ヶ月から半年はかかるそうなので、その間はもちろん治療がストップしてしまいます。細胞採取自体はすぐ終わったとしても、それを培養して増やすのに時間がかかってしまうのです。増やした細胞を頭皮に埋め込んで、そこから髪の毛が生えてくるのも待たなくてはいけません。一年がかりでゆっくりと治療するようなイメージでしょうか。

アレルギー反応

体外にある細胞を体内に埋め込む際にはアレルギー反応を起こして体が拒絶する可能性があります。そうなってしまうとせっかく増やした細胞や費やした時間・お金も無駄になってしまいます。培養前は元々が自分の細胞のためにアレルギーを起こす可能性はさほど大きくは無いでしょうが、一定のリスクは確実にあるでしょう。

高額な治療費

現在受けられる治療の中でも自毛移植は最も高い部類に入り、薄毛の進行状況にもよりますが、だいたい平均して100万円程度はかかってしまうそうです。毛髪再生医療は現在の自毛植毛よりも「細胞培養」というステップが入る分、確実に費用は高くなります。実用化に目処がたった直後は最低でも300万とか400万ぐらいかかると私は予想しています。一般的な収入の人ではなかなか厳しいものがありますね…。特に薄毛に悩む若い人にはまず捻出するのは無理な金額です。

実用化初期は治療がなかなか受けられない

高いから治療が受けられないだけならまだしも、おそらくは実用化直後は治療対象の患者さんはかなり少なくなる見込みです。いきなり何千人も治療を受けられるとは思えません。2014年の段階で毛髪再生医療の先頭を走っていた資生堂では「2018年を目処に実用化し(2017年現在ではさらに伸びて2020年頃になる模様)、最初は毛髪外来・脱毛外来を設けている大学病院等と提携して様子を見ながら進めていく」とコメントしていました。大手のAGAクリニックではなく限られた大学病院のみで治療が受けられる場合は、おそらく治療を受ける患者さんを募ってから抽選でふるい落とすことが濃厚です。お金があっても治療を受けられるとは限らないのです。

このように、全人類待望の夢の毛髪再生医療にも欠点がたくさんあり、まだまだ私たち一般の人が気軽に受けられる治療になるのは先になりそうです。2020年を目処に実用化したいと資生堂や京セラグループは述べていますが、得てしてこういう希望は先に延びてしまうものです。あとわずか3年で実用化すると考えるのはあまりにも楽観的な見通しです。

それでも毛髪再生医療に期待せざるをえない

こういった欠点は多々あるのですが、それでも毛髪再生医療が我々薄毛に悩む人にとっては希望であることに代わりはありません。AGAを発症させ人を薄毛に追いやるアンドロゲンレセプター受容体が少ない後頭部の細胞を培養して前頭部に埋め込んでやれば、DHTの影響を受けにくい前頭部の髪の毛が出来上がります。20代、30代で治療すれば50代になってもフサフサでいられる可能性が非常に高いと言えるでしょう。プロペシアやミノキシジル、その他の治療法は基本的に「治療をやめたら効果が無くなり薄毛が進行する」という代物です。でも毛髪再生医療は逆です。DHTの影響を受けず脱毛しづらい後頭部の髪の毛を使って治療するので、治療後はAGAにかなり強くなります。パワーアップするのです。もし治療費が50万程度にまで下がるようになれば、かなり有望な治療法です。

毛髪再生医療は薄毛治療の革命的三段階目と私は考えています。一段階目は効かない育毛剤、二段階目は効果が立証されたフィナステリド・ミノキシジル、そして三段階目は男女や薄毛の進行具合を問わずに若い頃の毛髪を取り戻す事のできる毛髪再生医療というわけです。

効かない育毛剤 → 効く治療薬(フィナステリド・ミノキシジル) → 確実に毛を増やす毛髪再生医療

この三段階目に薄毛治療は差しかかりつつあります。2020年の段階ではまだまだ一般の人には手の届かない治療法かもしれませんが、さらに5年後の2025年には治療価格も数十万円に下落し、多くの人が毛髪再生医療を受ける事ができるようになるでしょう。そのような未来を願ってやみません。

毛髪再生医療が発達したら育毛剤は無くなるか?

約10年前まではリアップやプロペシアの登場で効果の無い育毛剤や育毛シャンプー、育毛サロンは淘汰されると盛んに言われていた時代がありました。毛髪再生医療が発達してもこの状況は変わらないでしょう。育毛剤の売り手はますますマーケティング力に磨きをかけて、効かない育毛剤を売ってきますので育毛剤市場はさほど縮小しないばかりか、今後若年層が減ってますます中高年が増えると逆に拡大する可能性もあります。薄毛に悩む方々は、どうか科学的に効果が立証された治療法のみ実践していただきたいと強く願わずにはいられません。現状ではフィナステリド・ミノキシジル、自毛移植など選択肢は限られているぶん明確です。今後はこれに毛髪再生医療が加わるでしょう。比較的安価に治療できる治療薬(プロペシア、リアップ)を選択するか、高価な自毛移植か毛髪再生医療を選択するか。10年後はこのような2択になっているのではないでしょうか。

今後はどこが毛髪再生医療分野を制するのか

現在注目されている毛髪再生医療研究グループは記事冒頭でも述べましたが資生堂グループ京セラ・理研グループの二つです。これより先駆けて横浜国立大学のグループもマウスを使った発毛実験の成功を発表した例がありますし、水面下で研究を続けている企業・研究機関はたくさんあるでしょう。アデランスのJigamiように社運を賭けて海外の毛髪再生医療企業を買収したけれど頓挫して撤退してしまった例もありますが、今後は確実にこの分野は発展・拡大していくことが確実です。

現在のところ京セラの技術の方が資生堂の技術よりも効果が見込めるのではないかという見方もありますが、海外より黒船のごとく画期的な研究が舞い込んでくるかもしれません。海外・国内問わず毛髪再生医療分野は競争が激化し、そのぶん研究速度も早くなり、我々が治療を受けられるのも早くなるかもしれません。

資生堂の研究について

ここからは国内の毛髪再生医療研究の一翼を担っている資生堂グループの研究進捗状況について解説していきます。資生堂はカナダの再生医療ベンチャー企業であるレプリセル・ライフ・サイエンス社(RepliCel Life Sciences 以下レプリセル)の開発したRCH-01という技術を基に研究を進めています。京セラ陣営と違って核となる技術は外部からライセンスを受けて使っているんですね。

レプリセルはアメリカやヨーロッパの企業にもライセンスを提供しており海外でも研究が進んでいるようですが、日本・韓国・中国を含むアジアについては2013年7月に資生堂と技術提携契約を締結し、アジアではレプリセルのRCH-01の特許を独占的に使用する契約を4億円で結んでいます。もしこの技術開発が成功した暁には10億人を超える中国市場に向けても技術を独占提供できるわけで、資生堂としては従来の化粧品会社の枠を超えた事業を展開することが期待できます。毛髪再生医療の難点の一つである高額な治療費ですが中国の富裕層を史上に取り込む事によって初期の売り上げを確実に確保できるでしょう。

ちなみにレプリセル社は将来有望な再生医療ベンチャーとして注目されているようで、この記事を書いている時点(2017年1月)で上場しているトロント株式市場にて過去最高値1.8カナダドルをつけています。去年の8月時点では0.1カナダドルだったのでなんと18倍!とんでもない値上がり率ですね。この企業の技術に注目して株を持っていた人は大儲けしてそうです。

また、2014年11月に「再生医療等安全性確保法(通称:再生医療新法)」というものが施行され、従来は医療機関にしか許可されていなかった再生医療のための細胞の培養・加工が「特定細胞加工物製造施設」の認定を受けた民間の企業に委託することが可能になりました。医療機関が自前の大規模な細胞加工施設を持っていなくても再生医療を行うことができるようになったわけです。この規制緩和により資生堂の研究事業は飛躍的に進む事になります。2014年より神戸ポートアイランド・神戸医療産業都市の「資生堂細胞加工培養センター(SPEC、スペック)」を本格稼働させ、東京医科大・東邦大学と提携し臨床検査を進めています。もちろんこの流れは偶然の産物ではなく、予め規制緩和を見越して先手を打っていたのです。ちなみに神戸ポートアイランドは京セラグループの理研の本拠地があるところです。日本の薄毛改善の鍵は神戸の人工島が握っていると言っても過言ではありません。

 

レプリセルのRCH-01とは

レプリセルは既に海外でヒト相手の臨床実験を進めており、一定の成果を上げています。しかし劇的に改善したとはまだ言いがたいのが現状です。RCH-01は簡単に言ってしまえば、毛髪が元気に生えている細胞を採取し、そこから毛髪を生やす力を持っている毛球部毛根鞘細胞と呼ばれる細胞を何百万と培養し、これを毛髪を生やす力が弱ってしまった部分に注入することで髪の毛を生やす力を復活・改善するという仕組みになっています。

毛髪再生医療のもう一つの有力グループである京セラと決定的に違う点は、毛を生やす力が弱まった部分に「活」を入れて(という表現が正しいかどうかはわかりませんが…)、もう一度生やそうとする点です。このやり方ではあまり劇的な改善は見込めないのではないかという疑問や批判もあります。実際に臨床実験ではそこまでフサフサになったわけではなく数%程度の増毛に留まった被験者が多かったようです。全く髪の毛が生えなくなった部分には無力なのではないかという疑問も頭をよぎります。

 

後ほど解説する京セラの技術はもっと根本的なところ、つまり毛を生やす能力を持った細胞時代を作っちゃおうというものです。なので理論上は完全に毛を生やす力が死に絶えた部分でも生やす事が可能なのではないかと期待されているのです。

どのような所で毛髪再生医療が受けられるのか

ところで毛髪再生医療はどこで受ける事ができるようになるのでしょうか。まだ実用化は先の話なので今から予想しても仕方ないかもしれませんが、これは結構重要な話です。もし限られた大規模な大学病院のみでしか施術を受けられないとすれば費用は高止まり、受けられる人数もごくごく限られてしまいます。大学病院だけでなくもっと広範囲で様々な医療機関で施術を受けられるようになれば価格競争も進み、治療環境は向上するでしょう。

毛髪再生医療と似た治療方法として自毛植毛(FUTなど)が真っ先にあげられます。自毛植毛は自らの残っている毛髪部分の頭皮を採取し、それを薄くなった部分に移植することで前頭部などの薄毛を改善する技術です。各地の薄毛治療クリニックでもう何十年に渡ってしっかりとした実績とノウハウが蓄積されています。このような自毛移植クリニックで毛髪再生医療を受けられるようにはならないのでしょうか?

残念ながら毛髪再生医療元年と期待される2020年時点ではまず無理でしょう。もし資生堂や京セラが2020年に実用化できていたとしてもその時点では限られた大学病院でしか施術しないはずです。またライセンスの問題もあります。資生堂などは海外のレプリセル社の技術を核としていますから、その技術を使った治療をどのような病院と提携して行うかをレプリセル社に制約を設けられる可能性もあります。例えば大学病院ならいいけれども大手AGAクリニックや美容系クリニック等は駄目、といった感じです。レプリセル社とどのような契約になっているかは外部にはわかりませんが虎の子の技術であるRCH-01で何かトラブルがあれば再生医療ベンチャーとしてのダメージは大きいために、実用化初期の頃は信頼のできる少数の大病院でしか治療を認めないという可能性はありそうです。

まとめ

以上、期待の毛髪再生医療の2017年の現状についてお伝えしました。まだまだ課題はたくさんありますし、限られた大学病院のみで治療が受けられるようになってもあまり意味がありません。ルネッサンスクリニックなど自毛植毛に強い大手のAGAクリニックグループなどが京セラ等と提携して施術できるようになれば一気に治療環境は良くなるでしょう。毛髪再生医療が本格化するまではフィナステリド・ミノキシジルで髪の毛を維持しつつ耐える日々が続きそうです

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